「定年後に便利屋を開業したいが、60歳を過ぎて新たなことを始めるのは心配で…」
「ちゃんと技術は身につくのか?集客はできるのか?体力は?」
定年を間近に控えた方からは、こんなご相談をよく受けます。
新しいことにチャレンジしようとしているのですから、不安になるのは当たり前のことですが、そんな心配は無用です。正直なところ、むしろ定年後に便利屋を開業した方のほうが有利な点もあるくらいです。
それでは、『定年後の便利屋開業が有利な理由』と『よく相談を受ける心配事の解決策』を、もう少し詳しくお話ししましょう。
定年後の便利屋開業が有利な3つの理由
- 前職で培った能力がある
- 年齢が武器になる
- 人脈、自己資金などの資産がある
前職で培った能力がある
定年後に便利屋を開業するのは、「職人さんなど、便利屋としての技術をすでに持っている人が多いのでは?」と思われるかもしれませんが、実際はそうではありません。
調理師、寿司職人、ディーラー、小売業、営業職…、様々の職種の方が便利屋を開業し軌道に乗せています。ぜんぜん別の業界からの便利屋開業、ちょっと意外ですか?
でも、定年後に異業種から便利屋業界に入られる方は、ほんとうに多いんです。実際に私のエリア内だけでも、定年後に便利屋を開業した方がお二人いらっしゃいます。偶然にも二人とも前職は百貨店勤務で、お一人は開業してからもう18年がたとうとしています。
もうすぐ80歳になりますので現場に出ることは少なくなったようですが、上手にアルバイトを育てて仕事を任せています。年齢を重ねても、自分の働き方を自由にクリエイトされていらっしゃるんですよね。
便利屋開業に大切なことは、すでに具体的な技術をたくさん身につけているということではなく、やる気と「人の役に立ちたい」という気持ちです。さらに仕事の計画を立て実行する力、交渉力、お客様の要望をヒアリング力などがあれば、成功は近くなります。
定年を迎えた方は、ご本人はあまり気づいていませんが、これらの力を持っています。だからまったく畑違いの仕事から便利屋を開業しても成功できる確率が高いのです。
年齢が武器になる
一般的にですが、若い人よりも年齢が上の人の方がいろいろ経験が豊富です。特にこれから新しいことをはじめようとするチャレンジ精神があるので、高い能力を持っている方が多いです。
20歳の人間と60歳の人間が並んでいたとき、多くの人が『年齢が高い方に信頼感を持ってしまう』のは、ある意味当たり前と言えるでしょう。年齢を重ねている方が、若者よりも信用や信頼感を得やすいのです。
また便利屋のリピーターになってくださるお客さまというのは高齢の方が多く、そういった方と年齢が近いというのも有利です。お客様と年齢が近ければ、困っていること、悩んでいることが自然と理解できます。
人は年を重ねていくにつれ、できなくなっていくことがたくさんあります。
「身体が思うように動かないので、今までのように丁寧な掃除ができない。でもきれいな暮らしをしたい。だから月に一度は専門家に掃除を頼みたい」。
そういう思いを理解するのは、不自由なく身体が動く若い頃にはなかなかできません。高齢者の悩みや気持ちに自然と寄り添えることができるのは、便利屋として大きな強みになります。
人脈、自己資金などの資産がある
社会で仕事をひとつ成し遂げた方が持っているものは他にもいろいろありますが、豊富な人脈、資金は分かりやすい強みです。今まで培ってきた人脈から仕事が来ることもありますし、何か困ったことが起きた時に誰かに相談することもできるでしょう。
また子どもにお金がかかる時期も終わっていますので、起業に使える資金も豊富です。実は定年後の便利屋開業というのは、脱サラ開業よりも有利な点がいくつもあるんです。
3つの心配事「技術・集客・体力」の解決方法
定年後に便利屋を開業される方から相談されることは、主に「技術がちゃんと身につくか」、「集客はできるのか」、「仕事を続ける体力は維持できるのか」の3つです。
起業して新たな世界に入るのですから心配になる気持ちは分かりますが、どれも準備と工夫で乗り切れるものばかりです。
それでは1つ1つ解説します。
技術
便利屋の仕事は、草刈り、清掃、空き家の片付け、飼い主が旅行中のペットの食事の世話など、特別な技術がなくともできることがほとんどです。
しかし中には、水回りのトラブル解決、エアコン掃除やエアコンの取り付け・取り外しなど専門の技術が必要なものもあります。これらは開業前に実際に実習しておいたほうが良いでしょう。YouTubeやホームセンターのホームページで方法が検索できるものもありますが、実際にやってみないと分からないことも多いです。
家で練習できることがほとんどなので、実際に家で練習してみましょう!
お客様はプロとして信頼して仕事を依頼してくださるのですから、それに応える技術はしかりと身につけてスタートしましょう。
はじめは難しいと感じるものもありますが、何度も繰り返すうちにプロとしての自信が付いてきます。
そうはいっても開業当初は、どうしても自信がなくて受けられない依頼や解決策が分からない依頼が来ることもあります。そういった場合は丁寧にお断りするか、あるいは専門業者を紹介するという方法もあります。または私までご連絡ください。
集客
便利屋の集客はポスティングが基本です。ただポストにチラシを入れていくだけですから簡単です。高度な営業トークは必要ありません。
ただひとつ注意点があります!特に開業当初は、ポスティングは業者に依頼することなく、ご自身でやってください。体力が心配だからといって業者に依頼するのは絶対にダメです。
というのは、自分でポスティングをするのと業者がポスティングするのとでは、反応率がまったく違うのです。
現在、私が自作してポスティングしているチラシは、400〜500枚に1件の高反応率です。しかしなぜか業者にポスティングを頼むと、まったく仕事の依頼が来ないのです。業者を変えたり地域を変えたりして試しましたが、結果は同じでした。
ポスティング業者の方もきちんと配ってくれているとは思うのですが、実は、ポスティングのアルバイトをしていた方の部屋の片付けの際、大量のチラシを廃棄したことがあります。どの業者であっても、きちんとチラシが配られているかどうかは確かめようがないというのが、実際のところなんですよね。残念ながら。
そうそう!それからチラシの反応率はデータをとってください。そして より高い反応率のチラシを作る研究をしてください。60歳の人間が若者にかなわないのは、やはり体力です。チラシの反応率がよければポスティングの効率が良くなり、体力の維持が楽になります。
広告代理店に作成を依頼したチラシの反応率は、通常、1,500〜2,000枚に1件です。私が便利屋を開業した月は、38,000枚のチラシをポスティングして、問い合わせがあったのは23件でした。開業時としてはまあまあの反応率ですが、38,000枚のポスティングは若い頃だったからできたことで、今はおそらく無理です。
現在はチラシを改良して自作し、反応率を400〜500枚に1件に上げることができました。チラシは工夫次第でものすごく反応率が変わるんです。
そして年数がたつにつれリピーターのお客様が増え、ポスティングの必要も無くなっていきますし、忙しくてポスティングの時間がとれなくなってきますが、やはりチラシの改良は続けた方が良いです。反応率が良いチラシを作れることで、売り上げを落ち込ませることなくコントロールできるからです。
体力
便利屋はものすごく筋力や体力が必要な仕事が多いわけではありませんが、身体は大切な資本です。『身体は大切に!』は基本です。
体力はポスティングをしていると自然についてきます。数ヶ月ポスティングを続けていれば、おそらくまわりの60代よりも体力は上回っているでしょう。便利屋を始める前よりも疲れ知らずになっていくと思います。
しかしながら20代の若者と比べたら体力が無いのも事実。仕事の効率化はいつも考えなければいけません。効率化で大切なことのひとつに、『道具選び』があります。使う道具によって仕事の効率は大きく変わります。
私が初めて広い公団の草刈りをやったとき、4人がかりで丸1日かかりました。しかし道具を変えただけで、2人でやっても1日で終わらせることができるようになりました。人件費を考えたらこれはすごいことです。
道具選びは、先輩の便利屋に相談してみるのがおすすめです。アマゾンのレビューやホームセンターのおすすめ品はあくまでも個人の意見であって業者の意見ではないのです。
たとえば草刈り機を買うときに個人のレビューを参考にしてしまうと、刃がすぐにダメになった、充電が数時間で切れたなど、業務用としては不都合が出てくることがあります。
草刈りは『草がいちばん伸びるが夏』に依頼が多いのですが、夏の草刈りはかなり体力が消耗します。道具選びは体力維持の肝になることも多いので、しっかりと吟味しましょう。
あ、それから草刈りは、『まずは日影から始める』が基本です。
私は以前、「陽向から始めて後で楽をしよう!」と思って、失敗した経験があります(笑)日が高く昇るにつれ日影がどんどん無くなって、結局ずっと日が当たる場所での草刈りになってしまいました。体力維持のためには『草刈りは日影から』です!
ちょっと話がそれてしまいましたがまとめると、
体力はポスティングでついてくるので大丈夫!仕事の効率化を図れば、20代の若者並みにバリバリ仕事をこなすことも可能、ということです。
それを可能にするためには、身体をいたわることも忘れないようにしましょう。
たとえば重い物を持つ仕事の時は、腰痛予防にサポーターを使いましょう。実は私はプライドが邪魔して、最近までサポーターを使うことを拒んでいましたが、使ってみるとほんとうに楽です。近頃は、オシャレなブラック、夏につけても暑苦しくなく薄手で目立たない物もありますので、オススメです。
時には整体で身体を癒やすことも大事ですよ。
定年後の便利屋開業について、有利な点、心配事の解決策はこんなところでしょうか。もし他に何か質問などありましたら、遠慮なく相談してくださいね。